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間瀬元朗「イキガミ」 星新一「生活維持省」

筒井御大の書かれている「偽文士日碌」(「笑犬楼大通り」サイト内)にて、
9月10日付の文で以下のように書かれています。

http://shokenro.jp/00000064

すなわち、星新一の小説「生活維持省」と漫画「イキガミ」が
酷似しているため、星新一の娘さんが盗作問題として悩んでおられるとのこと。

「生活維持省」はだいたいこんな感じ。

2005年09月14日・アスキーアート「生活維持省」・89点
http://www.nurs.or.jp/~lionfan/mainichi_2005_113.html

ボッコちゃん (新潮文庫)ボッコちゃん (新潮文庫)
(1971/05)
星 新一

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「イキガミ」はこんな感じ。

【ヤンサンWEB-連載作品紹介-イキガミ
http://www.youngsunday.com/rensai/comics/ikigami.html
(ヤンサンからスピリッツへ移行したのでおそらく近いうちにこのページは消えるでしょう)

イキガミ - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A4%E3%82%AD%E3%82%AC%E3%83%9F

イキガミ 1―魂揺さぶる究極極限ドラマ (1) (ヤングサンデーコミックス)イキガミ 1―魂揺さぶる究極極限ドラマ (1) (ヤングサンデーコミックス)
(2005/08/05)
間瀬 元朗

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箇条書きにすると箇条書きマジックで著しく似ているように思えるので
各個参照の上、ご判断下さい。
私は「国家の繁栄・治安維持のために殺人が行われ、その組織が存在する」という
設定が共通していると考えています。

私自身は星新一のショートショートはおそらく大部分は読んでいます。
「生活維持省」のほうもタイトルだけではピンときませんでしたが、あらすじを見ると
そういやそんなのもあったな程度には覚えています。

「イキガミ」は、もともと連載していたヤンサンは読んでいなかったものの、
いちおう毎週読んでいるスピリッツに移ってきたので少しは読んでいます。

以前からこの2作品については似ている点を指摘されていたわけですが、
星新一の娘さんが今回問題ととらえるようになったのは映画化
「イキガミ」映画公式サイト)もされ、ことが大きくなったからかと思います。
動く経済規模が大きくなったと言い換えてもいいでしょう。

盗作という問題について、個人的にはモラル的な面と経済的な面があると
考えています。
創作をする上で、他人の考えたアイデアを下敷きにすることで作品への
評価の毀損もありましょうし、作家自身の忸怩たるものもあるでしょう。

これについては意図的にパクった、偶然似ていた、オマージュ、インスパイヤ、
といった作品をつくった側の意識、似ている箇所の多少、これらを超越して
作品がどういう評価をされるかにかかっているかと考えます。
どうしても後発のものは先発のものにかぶってしまう部分がありますし、
人間はゼロからものを考えることは不可能です。

クトゥルーものを扱えばラブクラフトのパクリか、潜水艦を出せばヴェルヌの
パクリか、未来からなんかやってくれば藤子F先生のパクリか、そもそも
タイムマシンがウェルズのパクリかと言えばキリがないわけで、
その作品がどう評価されるかが重要でしょう。

ただ経済的な話とすると、もとの著作権者が「自分の作品の要素が、
この作品内には多分に含まれている」と主張するのはもっともなことですし、
その権利はあるでしょう。
これは裁判で証拠をあげて争うべきことであり、それで解決するべきものです。
裁判の勝算、および裁判を行うことでの社会的信用の上下をはかって行うべき
ことです。

というわけで私としては両者ともに同情的です。似ていると主張するのも
わかりますし、星先生が千以上も打ち上げたアイデアの弾幕を避けずに
ものを作るのが相当に難しいのもわかります。(意図的かどうかは別として)

ここで唐突に田中圭一の話になります。脈略あるようであんまりありません。
田中圭一というひとは大変下品なギャグ漫画を描いておられる人なのですが、
手塚治虫や本宮ひろ志、永井豪、その他の絵柄でそういうお下品なものを描いておられるのです。

つっこみドン!! (Cue comics)つっこみドン!! (Cue comics)
(1998/03)
田中 圭一

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昔から下品ギャグ漫画を描いてこられた人なのですが、急にこういった
他人の絵柄でお下品なものを描いて笑いにするという作風を確立されました。

田中圭一 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%94%B0%E4%B8%AD%E5%9C%AD%E4%B8%80_%28%E6%BC%AB%E7%94%BB%E5%AE%B6%29

はるか昔に「ドクター秩父山」という作品がありまして、これも下品というか下ネタも
ひどいのですが、コシガヤバーガーというハンバーガ屋のマスコットがマクドナルドの
あの赤いやつとそっくりでして「コシガヤバーガーはビーフ100%だよ・・・ふふ・・・ははは!」
とか意味深な笑いをするなどひどいものだったのですが、友人から昔借りて読んだきりで
しばらく田中圭一の消息を知らなかったのですが、先述の作風で出世作となったのが
「神罰―田中圭一最低漫画全集」です。

神罰―田中圭一最低漫画全集 (Cue comics)神罰―田中圭一最低漫画全集 (Cue comics)
(2002/08)
田中 圭一

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帯に手塚治虫の娘さん、手塚るみ子さんの「訴えます!」のコメントもあり、
正直なところ訴えたほうがいいのではとも思うのですが、これぐらいのほうが
洒落ていて私は好感が持てます。

星さんも生きていれば・・・とも思うのですが、先生はあれはあれで結構晩年は
文壇に対して恨みを多少なりもっていたようなので、生きていればこのあたり
うるさい人だったのかもしれません。
下記の本に書いてあったような気がします。

星新一 一〇〇一話をつくった人星新一 一〇〇一話をつくった人
(2007/03)
最相 葉月

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実際に裁判となるか、またその結末がどうなるかはわかりませんが、
星新一が再評価されるようになれば、昔読んでいた者としては嬉しく感じます。
いまの若い人は星先生とか読んでるのでしょうかね。


↓ここから追記↓(2008.09.22)

「イキガミ」サイド(小学館)からのオフィシャルな見解が出ているので追記です。

星マリナさんの『イキガミ』に対するお尋ねについて

http://hoshishinichi.com/ikigami/shogakukan.html


まあ、小学館の見解としてはこうなるを得ないというものです。
とはいえ、

> しかし、『イキガミ』の作者・間瀬元朗氏も担当編集者も、最近になるまで
>星先生の『生活維持省』という作品を読んだことはなく、このご指摘に困惑
>するばかりでした。


これはどうなんですかね。
実際そうかもしれんのですが、いちおう創作している人間として
「読んでないから知らん」というのは別の意味でがっかりな気がします。
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タグ : 星新一 イキガミ 田中圭一

comment

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No title

「イキガミ」は読んでませんが、設定の一部が共通してたとして
作家性の侵犯にまで及んでなければ別にいいんじゃないかと
思いますけどね。

星新一の場合、設定の意外性・おもしろさに加えて枯れたユーモア
であるとか無機質な文体などが魅力で、それが星新一という作家を
際立たせていると思いますが、「イキガミ」の作者さんはそれとは
違う持ち味を、別の方法で(そもそも漫画と小説だし)出していけば
いいんじゃないかと思います。

ただ星さんサイドがなんとなくおもしろくないのもよくわかります。
あとは線引きの問題になってくるのかと思いますが、こういう
定量化できないことの判断って難しいですよね。明確に何個以上
類似点があれば盗作、みたいな基準はないけど「これは明らかに」
っていうのも世の中にはあって、それはどう判断してそうなのかと
いうのをいちいち実証して明文化してジャッジする作業というのは
大変そうだなぁと思いました。

No title

 私も「イキガミ」は最近スピリッツで読んでいるぐらいなのですが、
あっちのほうは作品の面白みとしては、イキガミといういわゆる
死の宣告を受け取ってから、その人がどう行動するかという
人間性のほうにあるように思います。

 星新一のほうはどうしても文が短いぶんアイデア勝負で、その話の
設定の妙に面白みはあると私は考えており、作品の価値的には違う
色をもったものだとは思います。

 いかんせん先生はショートショートという形態を主にしてきた方
なので、苦心を重ねてやっとのことでひねり出されたアイデアを
(無意識であれ意識的であれ)ただ乗りされるように思うのも
星先生サイドとしても感じるところでしょう。
 アイデアが優れているのだから、その設定を基にすれば
幅をふくらませて面白い長編は書けるのは当然かもしれません。

 読者が許せるものと、法的に許せるものはまた違うでしょうし、
重複すると思われる箇所が多いほうが断罪されるのかというと
また違うでしょうし、重みづけも難しいと思います。

 最近であった盗作関連の裁判でいいますと、
槇原敬之が作詞した「約束の場所」と松本御大の「銀河鉄道999」
のセリフが酷似しているという件がありましたが、なんか盗作云々
よりも違うレベルの話をしているように思います。
 結局はこう泥沼化するしかないのですかね。
 双方ともしっくりと解決するのは難しいと思います。
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